表現や作風が多岐にわたる会田誠の作品を一部の表現だけで捉えるのはいかがなものなんでしょうね
六本木ヒルズ内にある森美術館で行なわれている会田誠展「天才でごめんなさい」について、PAPSなる団体に抗議を受けていると話題になっています。
私は昔、会田誠氏の作品をまとめた本「会田誠作品集『孤独な惑星』」(2000年4月15日第五版 第五刷発行)を購入していました。
- 作者:会田 誠
- メディア: 大型本
そもそもこれまで日本国内や西欧美術においても男女の肉体描写が様々な表現をされているのに、現代アートだけがこのような批判を受けるのは同意できかねますし、差別という批判をされていることについても残念と言わざるを得ません。
「会田誠作品集『孤独な惑星』」にて三潴末雄氏は以下のように会田誠氏との出会いを記しています。
であい 三潴末雄
私と会田誠の出会いは、一枚の傑作画「あぜ道」に始まった。
私はこの絵に圧倒され、文句無く素直に感動した。作家が絵画を通じて語ろうとしている。絵画によせる作家の熱い眼差しを感じた。
アメリカ化されヨーロッパ化された作品が、あたかもメジャーであるかのように、現代日本の美術シーンに跋扈*1している。そんな状況に辟易*2していた私にとって会田の絵は、みずみずしい力がとめどなく溢れていて、彼の才能とその閃きの鋭さにすっかり魅入られてしまった。もしかしてわたしの絵画を観る眼は、すっかり白人の視線になっていたのかもしれない。いつの間にか西洋人の眼で作品を観るようになっていた私は、会田の絵から、何処か遠くへ置き忘れていた「ナショナル」なものを呼び起こされた。
細密に描かれた田園風景、女性との一本一本の髪の毛に到る抜群の表現力。セーラー服の女子中学生を配置するトピックな感覚と内包された鋭い批評眼。以前どこかで見たことがあるようなのどかな田園風景と女生徒の髪の分け目の先のあぜ道の構図の面白さと、アンバランスな危うさ…。この巧みな「あぜ道」を前にして、もしかして会田誠は百数十振りに甦った「現代版浮世絵師」なのかもしれないとすら思った。
この作家の表現媒体は、絵画・写真・立体・イラストレーション・漫画・小説と実に多彩である。絵画の表現方法一つとってみても、伝統的日本画、例えば琳派の発想をヒントに「韻」を踏んだ現代的手法の作品に仕立てたり、オイルを駆使した具象から抽象表現まで多岐にわたっている。しかも発表する作品は、毎回そのスタイルを変化させているのである。会田の個展でよく質問される。「これはグループ展ですか?」と。そんな疑問を持たれる程、多様な表現の作家である。これは並みの描くエネルギーでは出来ないことである。会田は今もなお、巨大なエネルギーを溜め込み、そして発揮し続けている。
たくさんある中の限られた作品だけを批評して会田誠氏の作品を語るのは間違っているのではないでしょうかね。
今年の3月末まで森美術館で会田誠展は行なわれるそうなので、ぜひ見に行ってみたいですね。
立体や大きな作品もあるわけで、時として芸術は実物でしか得られないものもあるように思います。
https://twitter.com/mizumaart/status/295751988480716802
https://twitter.com/makotoaida/status/295726680545300480
https://twitter.com/makotoaida/status/295720375092908032
https://twitter.com/mizumaart/status/295769317948129280
https://twitter.com/tentama_go/status/295742835632795649
【子連れアート鑑賞日記 森美術館「会田誠展「天才でごめんなさい」パブリックプログラム「おやこでアート」」に参加してきました。】
【会田誠 (makotoaida) on Twitter】
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【1分でわかる会田誠:初の大規模個展を控えた、美術家の挑戦(1): 森美術館公式ブログ】
【森美術館】
【PAPSが森美術館『会田誠 天才でごめんなさい』展に抗議 - Togetter】
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【森美術館問題 | ポノレノ被害と'|'生暴力を考える会】
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